【新潟・胎内市】胎内市鍬江集落の「くわえ棚田振興会」は、2023年度から新たに、キクラゲの菌床栽培に着手した。山間地の棚田地域で、猿など鳥獣被害を受けにくい農作物を検討する中で国の支援事業を活用し、市とJA胎内市、県の支援を受けて栽培を始めた。外国産がほとんどを占めるキクラゲを、国内産・地場産として消費者に届ける考えだ。
鍬江集落は、農水省の「つなぐ棚田遺産」に選ばれている。「きんのあき」というブランド米の栽培もしている。
キクラゲの菌床栽培は昨年12月ごろから計画し、現在5人で活動している。キノコの種菌・菌床の製造・販売などを手がける群馬県の森産業から指導を受けて今年2月に種菌を購入し、6月下旬に栽培を始めた。7月中旬に初収穫を迎え、10月中旬まで約1トンの収穫量を見込む。
以前、葉タバコ栽培で活用した乾燥室を再利用し、キクラゲの栽培施設を設置した。
栽培は手間がかからず、稲作の合間にできる。6~10月の気温で十分育ち、収穫は2日おき。朝6時から夕方6時まで1時間に2分間、自動のスプリンクラーでミストが散布される仕組みだ。
生キクラゲは、JA胎内市直売所「逢菜館」で販売中だ。100グラム入りで200円。現在、乾燥中の乾燥キクラゲも順次、販売する予定としている。
市内の小・中学校の給食では5日、提供された。13日にも提供予定。10月29日には、JAの収穫感謝祭でキクラゲの特設会場を設置する。
くわえ棚田振興会の会長を務める田村信秀さんは「このキクラゲは肉厚で、ぷりぷりの食感。ぜひ食べてほしい」と笑顔で見せる。
販路は開拓中で、徐々に広げているという。今後は「近隣のスーパーでの販売も目指したい。次年度以降は規模を拡大して自分たちの世代で基礎をつくり、次世代につなげることを視野に入れ、長期的に計画している」と語った。
写真説明=キクラゲを収穫する田村さん(新潟県胎内市で)
R5.9.8 日本農業新聞掲載記事
JA胎内市