新潟市北区木崎地区の帆苅亮太さん(36)は、水田転作として、今年からサツマイモの試験栽培を始めた。稲作では水持ちが悪いなど条件が良くない水田16アールで、品種「シルクスイート」と「べにはるか」を計4500本栽培している。全国的に増える需要を見据え、生産拡大を目指す考えだ。
帆苅さんはかねてから米価の下落に不安を抱き、サツマイモの栽培面積を拡大したいとの思いを持っていた。
きっかけになったのは、全国の若手生産者グループで組織する情報交流サイトで相談を持ちかけたこと。他県で、水田からサツマイモへの転作事例があることを聞いた。「新潟県ではまだない試み。成功している県外の事例を聞き、思い切ってチャレンジすることを決めた。どのような結果になるか、秋の収穫が楽しみだ」と語る。
もともと田んぼだった圃場(ほじょう)は畑に比べて水持ちが良いため、かん水の回数と設備費用を抑えられ、労力軽減とコスト削減のメリットがある。今後の課題は、「収穫時に雨が降るとなかなか水が引かないため、作業がしづらいのではないか」という懸念だ。
帆苅さんは「初年度なので、何もかもが手探りの状態。しかし、サツマイモは全国的に需要が増えており、今回の挑戦を成功させて面積を拡大していきたい。将来的に新潟県の農家の所得向上につながればうれしい」と展望する。
JA新潟市木崎葛塚営農センターの大枝純也営農指導員は「今回の試験栽培は所得向上への貢献、サツマイモの面積拡大につながる画期的な取り組みだ。JAも、施肥設計や新しい販路開拓について全力でサポートしたい」と話した。
田んぼで栽培されるさつまいもの生育状況を確認する帆苅さん(左)と大枝指導員(右)(新潟市北区で)
R4.7.29日本農業新聞掲載記事
JA新潟市