JA十日町は5月中旬、狩猟免許取得希望者講習会を十日町市の本店で開いた。新潟県猟友会との共催。猟友会とJAが連携した講習会は県内でも珍しく、毎年すぐに定員に達するほどの人気だ。この日は、市内の狩猟免許取得希望者30人が参加。免許取得のための基礎知識、わなや猟具の扱い方などの実技講習を受けた。
野生鳥獣による農作物への被害低減と、鳥獣保護管理の担い手確保を目的に、2018年から開いている。
JA管内の鳥獣害による22年の農作物被害金額は約422万円で、被害面積は約16ヘクタール。十日町市鳥獣被害対策実施隊員(猟友会員)の出動回数は137回、鳥獣の出没報告は67回と、被害は深刻だ。
タヌキやハクビシンなどの畑の食害、イノシシによる稲の踏み荒らしなどから農地を守るためには鳥獣の生態を知り、免許を取得することが対策への一歩につながる。
講習会では、猟友会の池田富夫会長が鳥獣保護管理法や狩猟免許の試験対策について講義をした。
猟具や猟銃の取り扱いの実技講習では、一人一人に猟銃の扱い方や構え方、箱わなの設置方法を説明した。
初めて参加したという50代男性は「イノシシの被害が毎年あり、困っている。猟銃の安全確認の方法や組み立て方など、実物で分かりやすく教えてもらい、役に立った」と話していた。
毎年、この講習会を受けた参加者の多くが狩猟免許を取得し、猟友会会員は年々増加している。
JAは講習会以外にも、電気柵設置へ補助をしてきた。JA営農企画課の南雲壮一次長は「農作物の鳥獣被害は自分で守ることが重要。今後も関係機関と連携し、農地を守る対策を取っていきたい」と話す。
講師に猟銃の扱い方を教わる参加者(新潟県十日町市で)
R5.5.24日本農業新聞掲載記事
JA十日町