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交渉の最新情報

WTO 遠のく年内妥結/事務局長 閣僚会合を模索
(「日本農業新聞」2010/03/28より)

【ジュネーブ安達聡子特約通信員】世界貿易機関(WTO)の加盟国は26日、ドーハ・ラウンド(多角的貿易交渉)の進ちょく状況をまとめた「現状評価」会合を終えた。ラミー事務局長は、ラウンドの現状について「進展は限定的で、最終局面に入るには十分でない」と総括。2010年内の妥結は不可能となった。

ラミー事務局長は会合の中で、各交渉グループ議長が22日にまとめた報告を踏まえ、「意見の隔たりがどこにあるのか明確になった」とする一方、「どれくらい懸け離れているのかはっきりしない」と指摘。「妥協点を探るのに、トレード・オフ(取引)の選択肢を示さない限り、譲歩できない状況が続く」と述べ、分野ごとに協議する現在の手法には限界があるとの見解を示した。

こうした状況を打破するため、事務局長は各交渉グループ議長が主導する技術的な協議と並行して、農業とほかの分野を一体的に協議する「分野横断交渉」を導入するよう提案。「加盟国がラウンド全体の利益を本国に売り込めると期待している」と語った。

また、4月のケアンズグループ(農業補助金なしの輸出国)閣僚会議や、5月に開かれる経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会など貿易担当大臣が集まる場でもWTO交渉をめぐって議論されるだろうと指摘。これとは別に、事務局長は「閣僚の関与がさらに必要になれば、これも検討する」と述べ、ジュネーブで閣僚会合を開く可能性を示唆した。

事務局長は会合後の記者会見で、ほぼ不可能とされる年内妥結の可能性について「技術的に言えば可能。だが10年は政治的に設定されている日程である以上、年内妥結が可能かどうかは私にではなく、その日程を設けた首脳らに尋ねるべきだ」と述べるにとどまった。

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[解説]WTO閣僚会合/6月G20会議を意識 ラウンド活性化狙う
(「日本農業新聞」2010/02/02より)

30日にスイス・ダボスで開かれた世界貿易機関(WTO)の非公式閣僚会合で、6月下旬にも農産品などのモダリティー(保護削減の基準)合意を目指すとの認識が出席国から示された。ドーハ・ラウンド(多角的貿易交渉)の年内妥結を実現させるため、11月の米国議会中間選挙など年後半の政治日程を考慮して逆算した結果といえる。

3月に予定する、ラウンドの「現状評価」のための会合を閣僚級で行うか、事務レベルで行うかの判断は先送り。米国のカーク通商代表部(USTR)代表ら交渉の“主役”も不在と、ちぐはぐな面も残しながら、交渉の緊張感は維持した形だ。

6月下旬は20カ国・地域(G20)首脳会議の開催時期。従来の交渉は、米国をはじめ主要8カ国・地域(G8)が主導する場面が多かった。ただ、近年は同国とインド、ブラジルなど有力発展途上国との主張の対立が表面化。交渉停滞の主因と指摘されていた。

日本の農業団体は「G20を意識したのは、米国主導から“役者”の枠を広げ、停滞が指摘される今ラウンドを再び活性化させる狙いの表れ」とみる。実際、今ラウンドは2001年の開始から10年目に突入。各主要国は手詰まり感を強めている。

その米国も、オバマ大統領が先月の一般教書演説で「5年で輸出倍増」との方針を打ち出すなど通商政策の姿勢に微妙な変化も感じ取れる。従来、同政権は医療保険改革などを優先し、通商問題への関心は低いとみられていた。

日本の農水省は「『多様な農業の共存』など、農業分野での交渉姿勢は従来と同じだ」としている。ただ、米国がWTO交渉に本腰を入れ出した場合、ラウンドは一気に妥結へ向かう可能性は高い。依然、日本農業にとって正念場が続きそうだ。

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WTO会議閉幕/3月会合で再点検
(「日本農業新聞」2009/12/4より)【ジュネーブ寺田展和、安達聡子特約通信員】

当地で開かれていた世界貿易機関(WTO)の公式閣僚会議は2日夜(日本時間3日未明)、ドーハ・ラウンド(多角的貿易交渉)を2010年中に妥結させることや、交渉上の課題を再点検するための「現状評価」を来年3月末までに行うことなどを議長総括として発表し、閉幕した。

3月には現状評価について話し合う会合が開催される見通しで、一部の主要国は閣僚級会合を模索している。

現状評価を行うとしたのは、課題になっている農業分野などのモダリティー(保護削減の基準)合意を目指す上の布石とみられる。議長総括は、9月以降行っている次官級会合を継続させ、3月までに現状評価を具体化させる方向性を打ち出した。ただ、閣僚会議は焦点になっていた交渉を妥結させる具体的な道筋を示すには至らなかった。

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[論説]WTO先送り/自由化交渉は時代遅れ
(「日本農業新聞」2008/12/14より)

世界貿易機関(WTO)のラミー事務局長は「野心家」と言われる。その同氏がもくろんだWTO農業・非農産品交渉の年内合意が頓挫した。7月に続く交渉の決裂で、今回は閣僚会合すら開けなかった。強引な貿易自由化推進が砕かれた格好だ。今後は交渉を長期凍結し、「食料・地球環境危機」の世紀にふさわしい貿易ルールのあり方を根本から考え直すべきだ。

「交渉者はこう着状態から動くことを望まなかった」。ラミー氏は、WTO交渉合意を目指す閣僚会合の年内開催断念を表明した12日の記者会見でこう悔しがった。だが、日本は交渉決裂でとりあえず救われた。7月の閣僚会合と同様に、農産物の大幅関税削減を免れる重要品目の最大6%限定など、国内農業が大打撃を被る合意案を突きつけられていたからだ。

交渉合意を砕いたのはまたも中国・インドだった。この2大新興国は、米国が狙う農産物や鉱工業品の市場開放に「国益」をかけて抵抗し、一歩も譲らなかった。一方、米国も「十分な市場開放が得られない合意は意味がない」とする農業・製造業界の国内圧力を受け、自由化要求を緩めなかった。交渉決裂は必然だったといえる。

そもそも11月の金融サミットが首脳宣言で「WTO交渉の年内合意」を促したことがおかしかった。同宣言は金融危機対応で「保護主義を拒否し、内向きにならないことが決定的に重要」と強調した。つまり、「保護主義」抑制を貿易自由化推進の大義としたが、これは詭弁(きべん)としか言いようがない。

1930年代の恐慌から世界が保護主義的なブロック経済化に走って戦争に投入した歴史を重ね合わせることで、貿易自由化推進に大義を持たせようとするのは、まったくの筋違いだ。第2次世界大戦は侵略主義が主犯であり、自国の農業や工業を守ろうとして起こったのではない。

また、WTO交渉では、日本など食料輸入国も一定の関税削減を受け入れる姿勢にある。それなのに、輸出国が求める大幅市場開放に抵抗することを「保護主義」だと批判することは、輸入国への主権侵害にほかならない。

金融危機は、米国が主導した金融自由化で投機マネーが暴走して起きた。市場原理優先による行き過ぎた自由競争への猛反省を求められている。ところが、「金融」は規制するが、「貿易」の自由化には突き進む。これでは金融がこけたから、今度は貿易で荒稼ぎしようとするご都合主義でしかない。

世界は今、食料不足、地球温暖化に経済悪化を加えた危機への対応を迫られている。市場原理主義に代わる新秩序が必要とされる中、従来の自由貿易推進は弊害しかもたらさない。WTOは交渉を白紙に戻す勇気を持ち、真に世界に役立つ貿易ルールのあり方を考える時が来ている。

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WTO農業交渉 年内合意を断念/米と中印 対立解けず
(「日本農業新聞」2008/12/14より)

世界貿易機関(WTO)のラミー事務局長は12日、農業と非農産品分野のモダリティー(保護削減の基準)合意を目指す閣僚会合の年内開催を事実上断念した。両分野にわたって激しく対立する米国と中国・インドの調整が不調に終わったためだ。WTO交渉は当面、停滞が避けられそうにない。

【ジュネーブ安達聡子特約通信員】ラミー事務局長は12日の三十数カ国の大使を集めた会合で「現段階では閣僚会合を開いても合意するのは困難」との認識を示した。これに対し異論を唱える国はなく、多くの国は交渉は来年に持ち越すべきだとの考えを示した。

一方で、ブラジルやオーストラリアなど一部の国からは年内開催を求める声も上がった。同事務局長は「48時間以内に劇的なことが起きない限り閣僚会合は開かない」とし、さらに米国と中国・インドとの間で協議を続けるとしたが、これらの国の溝は深く、局面打開は望み薄の状況だ。

交渉は11月15日に、主要20カ国・地域(G20)の緊急首脳会合(金融サミット)がモダリティーの年内合意を求める宣言を出したことを契機に、年内の閣僚会合の開催に向け加速。12月6日には閣僚会合のたたき台になるモダリティー議長案の第4次改訂版も示された。

ただ、特に非農産品分野の産業別関税撤廃措置では、米国が7月の閣僚会合時よりも途上国への要求水準を上げるなど、双方の合意へのハードルは高まり、閣僚会合を開ける状況には至らなかった。

年明け以降の交渉は、長期間停滞するとの見方が強い。ラミー事務局長が12日の記者会見で「世界的な景気減速で合意はさらに難しくなるだろう」と指摘するなど、先行きに不透明感が増している。

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[緊迫WTO]重要品目 最大で6%/農業交渉の第4次改訂版 日本 厳しい状況に
(「日本農業新聞」2008/12/8より)

世界貿易機関(WTO)の農業と非農産品両分野の交渉議長は6日、関税や補助金の削減ルールなどを定めるモダリティー(保護削減の基準)議長案の第4次改訂版を各国に示した。農業分野では、関税の大幅削減から除外できる重要品目の数は全品目の原則4%、条件・代償付きで最大6%に絞り込むことを明記。7月の閣僚会合時にラミー事務局長が示した調停案に沿った内容で、8%を求める日本には極めて厳しい状況だ。

同改訂版は、13日にも始まる見通しが強まっている閣僚会合の「たたき台」になるもの。これにあわせ、ファルコナー農業交渉議長は、重要品目や低関税輸入枠の新設、途上国向け特別セーフガード(緊急輸入制限措置)の重要案件について、交渉の論点を「作業文書」として提示した。

重要品目の数は原則、全品目の4%に限定。2%上積みする場合は、代償として低関税輸入枠の追加拡大を条件にする。原則4%部分の低関税輸入枠の拡大幅は国内消費量の3~4%とし、上積みの2%部分は同輸入枠に消費量の0.5%追加拡大が求められる。

重要品目についての作業文書では、日本が8%を主張していることを明記したが、具体的な代償措置などについては言及しなかった。農水省は「日本の主張が明記されたことは今後の議論の足がかりになる」(国際部)としたが、日本の主張を盛り込むのは容易ではない状況にある。

低関税輸入枠の新設は、全品目の1%に限り認める案を示した。ただ、低関税輸入枠の拡大幅を同2%程度追加することが条件になる。

7月の交渉決裂の原因となった途上国向け特別セーフガード(緊急輸入制限措置)については、輸入量が20~40%増えた場合と40%以上増えた場合の2段階で、関税を引き上げられる発動基準を示した。輸出国、輸入途上国の双方に配慮を示した形だ。

ラミー事務局長は近く、閣僚会合の開催を最終判断する。各国の主張は依然隔たりが大きく、合意できるかどうかは、なお不透明な要素が多い。ただ、この議長案で合意を目指すことになれば、重要品目や低関税輸入枠の拡大などで、日本は厳しい交渉を強いられる。

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輸入枠拡大5~6% 重要品目で議長意向、日本に厳しく/WTO農業交渉
(「日本農業新聞」2008/11/15より)

【ジュネーブ安達聡子特約通信員】世界貿易機関(WTO)農業交渉で、関税の大幅削減の対象から除外できる重要品目の数を「全品目の原則4%、最大6%」とし、6%に上積みするには低関税輸入枠を「国内消費量の5~6%拡大」を義務付ける案が浮上していることが14日、分かった。モダリティー(保護削減の基準)案の改訂作業を進めるファルコナー議長が、輸入枠の拡大が必要との意向を示しているという。日本には極めて厳しい内容だ。

決裂した7月末の閣僚会合で、ラミー事務局長が示した調停案は、重要品目の数は原則4%で、低関税輸入枠の拡大幅は国内消費量の最大4%。品目数を2%上積みして6%にする場合、代償が必要としていた。調停案には数値が入っていないが、ベースになる現行のモダリティー案では、上積み部分だけを対象に、消費量の0.5%の追加拡大を求めていた。

今回浮上している案は原則4%で、2%の上積みを認める場合、すべての重要品目について低関税輸入枠を国内消費量の5~6%拡大する内容。日本の米でみると、ミニマム・アクセス(最低輸入機会=MA)米は現状の76万7000トンから最低でも約120万トンに増える。

重要品目数が6%になった場合、日本が目標とする約107品目に対し、約80品目まで減る計算だ。

交渉は9月から、未解決の案件ごとに関係国が集まり断続的に協議を進めてきた。重要品目をめぐっては主要国が全品目の6%でまとまりつつあり、日本だけが8%を主張。数の上積みを求めれば、低関税輸入枠の追加拡大という代償を求められる構図が続いており、「8%確保はどうやっても無理」(主要国高官)との指摘もある。

ただ、重要品目をはじめ、焦点の開発途上国向けの特別セーフガード(緊急輸入制限措置)でも、輸出国と輸入国の溝は深い。同議長は「(モダリティー案を)改訂できるまでの議論の下地はない」と周辺に漏らしている。

一方で、交渉は急展開する可能性も残る。15日までワシントンで開く緊急首脳会議(金融サミット)ではWTO交渉も議題に上る見込み。

主要20カ国・地域の首脳が参加する同サミットで、景気後退の脱却に向け年内のモダリティー合意を求める宣言が出される可能性もある。これを受け、ファルコナー議長がモダリティー案の改訂作業を一気に加速させるとの見通しもあり、予断を許さない状況が続いている。

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[論説]WTO決裂/自由化交渉に終止符を
(「日本農業新聞」2008/07/31より)

世界貿易機関(WTO)交渉の閣僚会合が土壇場で決裂し、日本は農産物の大幅市場開放という“最悪の合意”をのまずに済んだ。農業交渉で日本は輸出国の攻勢にたじろぐばかりだった。結果的に日本農業の窮地を救ったのは、自国農業を断固として守るため、米国と激突し合意を拒んだインドと中国だった。食料危機が世界を襲う今、穀物過剰を前提にした時代錯誤のWTO農業交渉に、終止符を打つべきだ。日本がその先頭に立とう。

農業などのモダリティー(保護削減の基準)確立を目指した閣僚会合は、合意寸前までいった。そこで見えたのは、わが国農業が向かう“地獄のふち”だった。ラミーWTO事務局長が25日に示した調停案は、米国、ブラジルなど輸出国寄りで、輸入国、日本の主張を粉砕した。

交渉のポイントは、高関税農産物の関税率を一律7割削減することを基本にした上で、日本の米のように各国にとって大切な品目を対象に、削減率を緩和できる「重要品目」を設ける点だった。問題はその数で、日本は当初「10%以上」を求めていた。「8%」に譲歩したものの、ラミー調停案は「最大6%」しか認めなかった。しかも重要品目は、低関税輸入枠を拡大しなければならないという大きな代償を迫った。

これを受け入れてしまうと、前回のウルグアイ・ラウンドの受諾以上の輸入攻勢にさらされ、農業の大打撃は必至となる。それでも日本は米国に歯向かえず、交渉を自ら壊すこともできなかった。事実上の敗北といえよう。

食料輸入国に転じたインドと中国の頑張りで交渉は決裂し、日本農業は“九死に一生”を得た。農業者は、今の政府にWTO交渉を任せられないと落胆したに違いない。

世界の食料不足問題の対応策として、福田康夫首相は6月の食料サミットで、自国の自給率向上を国際公約した。しかし、今回のWTO交渉で、日本が世界的な食料危機を踏まえ、各国の食料安全保障を尊重した貿易ルールへの転換を主張したとはとても見えない。

「われわれは農民の暮らしのために交渉している」。交渉のヤマ場で、インドのナート商工相は記者団に毅然(きぜん)として言い放った。欧州連合(EU)が農業交渉で大きく譲歩すると、フランスのサルコジ大統領は「(合意に)署名しない」と抗議した。各国とも自国農業の防衛に必死だったが、福田首相は沈黙したままだった。

政府・与党が今交渉で失った信頼を取り戻すには、国内農業を守り、自給率向上を実現することだ。世界では自国内への供給を優先する食料ナショナリズムが台頭している。各国の食料主権を奪うWTO自由貿易体制のゆがみは大きくなるばかりだ。農産物の自由貿易交渉は時代遅れになった。

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WTO第2次改訂版/日本の主張届かず
(「日本農業新聞」2008/05/21より)

世界貿易機関(WTO)農業交渉のファルコナー議長は19日、モダリティー(保護削減の基準)議長案の第2次改訂版を提示した。日本政府は、重要品目数が実質的に増えるように見直したことを「評価」(農水省)する一方で、「いまだ不十分な点がある」(同)との立場。今後の交渉の焦点と見通しをまとめた。

■重要品目 数まだ足りぬ

第2次改訂版では、関税の大幅削減の対象から除外できる重要品目の数の計算の基礎を全品目とし、原則として、その4~6%を提案した。計算の基礎は、昨年7月の議長案では実際に関税を課している有税品目を提起。今年2月の改訂版では、有税品目と全品目のどちらにするかを、その後の交渉に委ねていた。

日本は有税品目だと1013品目だが、全品目だと1332品目に増える。仮に重要品目数の割合が6%になれば、有税品目だと61品目、全品目だと80品目で、全品目の方が3割多くなる。

しかし関税が高い品目が多い日本は全品目の10%を求めており、まだ不十分だ。一方で第2次改訂版には、条件・代償付きで最大8%まで増やせるルールが盛り込まれているが、日本が対象になるか不明確だ。日本は「ここ(で対象になること)をとっかかりに重要品目数を確保する」(農水省国際部)考えだ。

■低関税輸入枠 最大限圧縮を

重要品目の低関税輸入枠の拡大幅について第2次改訂版は、関税削減率に応じて国内消費量の3~6%を提案した。2月の改訂版と同じだ。

主食用の米の消費量で計算すると25万~50万トン程度。現行約77万トンのミニマムアクセス(最低輸入機会=MA)が100万トンを超えることになる。

しかも、上限関税を導入しないことや重要品目数を最大8%まで増やすことの代償として低関税輸入枠の追加的な拡大も要求。日本は、拡大幅の「最大限の圧縮を目指す」(農水省幹部)。

■上限関税の代償 撤回をめざす

日本が導入を反対している上限関税も、これまでの合意案と同様に盛り込まれなかった。しかし、ブラジルなどの有力途上国グループ(G20)や米国は依然、上限関税を設けるよう主張。議長も声明で「なお議論が必要」とし、未決着との認識を示している。日本政府は今後も、上限関税を求める国に「しっかり反論していく」(農水省国際部)考えだ。

一方で代償として、関税が100%を超える品目が4%以上残る場合、全重要品目の低関税輸入枠を、国内消費量の0.5%追加的に拡大するよう求めている。日本が対象になるのは確実で、日本政府は引き続き代償の撤回を求めていく。

■輸出規制の規律強化 働き掛け継続

日本とスイスが4月末に提案した輸出規制の規律強化案は、第2次改訂版には盛り込まれなかった。食料輸入国と同時に輸出国でもある開発途上国にどう配慮するかなど、まだ各国との協議が十分でない状況だ。日本政府は米国や欧州連合(EU)といった主要国・地域の支持もてこに、モダリティーへの反映を働き掛ける方針だ。 ファルコナー議長は、第2次改訂版について今週、各国に検討を求め、26日から農業交渉を再開する考えだ。ただ、現状で決まっているのはこれだけ。モダリティー合意を目指す閣僚会合は6月中旬以降とみられているが、そこまでの道筋はまだ霧の中だ。

■見通せぬ閣僚会合

ファルコナー議長は声明で、第2次改訂版が最終案でないことを強調。閣僚会合の前に事務レベルで、交渉案件を絞り込む必要があるとしている。

重要品目の数や低関税輸入枠の拡大幅、国内補助金や関税の削減率といった各国の利害が大きく絡む数値は、閣僚会合に委ねられる方向だ。

ただほかにも、開発途上国の輸出農産物を優遇する熱帯産品や、重要品目の国内消費量の計算方法など、各国の反発が根強い案件も残っているため、事務レベルでどこまで絞り込めるかは不透明だ。

農業交渉と同時にモダリティー合意を目指す非農産品市場アクセス(参入)交渉も、「途上国の反発が強く農業よりも交渉は難しい」(交渉関係者)との指摘もある。

閣僚会合の開催は、6月上旬に経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会などの国際会議があることから、早くて同月中旬とみられているが、「最終のペーパー(改訂版)が出てこないと、その先(の閣僚会合の見通し)が出てこない」(若林正俊農相)。第3次改訂版が提示できるほど、交渉が詰まるかどうかにかかっているのだ。

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WTO農業交渉 不利な合意せず/自民貿調幹部とCOPA事務局長 会談で一致
(「日本農業新聞」2008/03/12より)

自民党農林水産物貿易調査会の幹部らは11日、来日中のペソネン欧州連合農業団体連合会(COPA)事務局長と東京・永田町の自民党本部で会談し、世界貿易機関(WTO)農業交渉をめぐって意見交換した。関税や補助金の削減ルールを定めるモダリティー(保護削減の基準)の合意内容が、日本や欧州連合(EU)の農業者にとって悪い内容ならば、合意しない方がよいとの認識で両者は一致した。

自民党農林水産物貿易調査会からは、谷津義男会長や西川公也事務局長らが出席し、交渉における日本の立場を説明。上限関税や低関税輸入枠の追加的拡大を求める代償措置の導入反対や重要品目は全品目の10%が必要なことなどを伝えたほか、日本にとっては米の扱いが政治的にも重要とし、特別な配慮が必要と理解を求めた。

また、谷津会長によるとペソネン事務局長は、交渉の早期妥結を目指すマンデルソンEU通商担当委員の姿勢に懸念の意を示したという。

両者は鉱工業品や林水産物を扱う非農産品市場アクセス(参入)交渉にも触れ、同交渉のモダリティー議長案の改訂版が発展途上国にとって受け入れ難い内容であることなどからも、交渉は難航するとの見方で一致。今後とも、日本とEU間の協調を深めていくことも確認した。

日・仏農相も

若林正俊農相は10日夜、フランスのバルニエ農漁業相と電話で会談し、WTO農業交渉について意見を交換した。バルニエ農漁業相は、同国のサルコジ大統領の言葉を引用して「悪い合意ならばしない方がよい」と強い口調で指摘。若林農相は、日本にとっての米の重要性や、重要品目の数や取り扱いなどで日本は譲れない部分があるとの意向を伝えた。

両大臣の電話会談は、WTO農業交渉が重要な局面を迎える中で、EUの農業大国であるフランスと情報交換をしたいと、日本側が提案した。会談では日本とEUが今後も連携を強めて交渉に臨むことや、重要な節目には電話会談などで意見を交換することで一致した。

若林農相は11日の閣議後の会見で電話会談に触れて「率直な意見交換をしようということを(バルニエ農漁業相と)確認し合ったことは、大きな意義」と語った。バルニエ農漁業相が引用したのは、サルコジ大統領の2月23日の演説。フランスやEUの農業を犠牲にする合意には強く反対し、同月8日に提示されたモダリティー議長案の改訂版に不満を示している。

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EPA要求交換 交渉は難航必至/日・重要品目を除外 豪・関税すべて撤廃
(「日本農業新聞」2008/02/26より)

日豪経済連携協定(EPA)交渉の第4回会合が25日、東京都内で始まり、両国政府が市場開放の要求と提案(リクエスト・オファー)文書を交換した。日本は米や小麦、砂糖、牛肉、乳製品などの重要品目を関税撤廃の対象から除外するよう提案。これに対しオーストラリアは、農産物を含む日本の全品目について関税の撤廃を要求した。双方の主張は真っ向から対立し、交渉が難航するのは必至だ。

交渉関係者によると、オーストラリアの要求は、1.原則すべての品目について即時、関税を撤廃 2.少数の品目については、短期間であれば、関税撤廃までの期間を設けるために議論をする用意がある――が柱。

同国が全品目の関税撤廃を交渉のスタートラインに置き、柔軟な対応を認めなかったことで、日本側からは早くも「交渉は長引くだろう」(交渉関係者)との観測が出ている。

日豪EPA交渉は2007年4月に開始。これまでは互いの国の農業事情を説明するなどにとどまっていたが、今回の会合でのリクエスト・オファーの交換から、協議が本格化した。

農水省は06年12月、オーストラリアからの近年の主な輸入品である小麦と砂糖、乳製品、牛肉の関税を撤廃した場合の試算を発表。これら4品目の国内生産減少という直接的影響だけでも、約7900億円に上るとしている。自民党も、これら4品目以外の作物や、食品産業への影響なども含め影響額は3兆円に達し、食料自給率も30%近くまで低下すると試算した。

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関税に平均削減率 輸入国の市場開放求める/WTO改訂版
(「日本農業新聞」2008/02/10より)

世界貿易機関(WTO)農業交渉のファルコナー議長が8日(日本時間9日未明)に提示したモダリティー(保護削減の基準)議長案の改訂版は、重要品目数の拡大に踏み切らない一方で、重要品目を含めて関税に平均削減率を設けるなど、食料輸入国に一層の市場開放を求める内容だ。主要な交渉案件についてポイントなどをまとめた。

◆代償措置

改訂版では上限関税は引き続き盛り込まれていないが、低関税輸入枠の追加的な拡大を求める代償措置については対象国の条件に変更があった。これまで、低関税輸入枠の追加的拡大が求められる国は、関税削減後に関税が100%を超える品目が有税品目または全品目の5%以上残る場合だったが、改訂版では4%以上残る場合とした。

日本は関税が100%超の品目はもともと5%以上残るため、今回の見直しでも引き続き低関税輸入枠の追加的拡大が求められることに変わりはない。

ただ、日本はこの代償措置の導入自体に反対しており、「しっかり反論していく」(農水省国際部)方針だ。

◆重要品目

改訂版では、重要品目の数は議長案と基本的に変更はない。有税品目または全品目の原則「4~6%」で、条件・代償付きで同「6~8%」を認めている。母数を「有税品目」にするか「全品目」にするかは、今後の交渉に委ねている。また、8%まで重要品目を拡大できる条件に日本が当てはまるかどうかも、あいまいなままだ。

日本は、重要品目数の計算の基になる母数を、重要品目数が多くなる「全品目」にすることや、8%まで拡大できるよう条件を見直すことを主張する。ただそれが実現できても、日本が求める「全品目の10%以上」には届かない。

◆関税削減

改訂版では新たに、重要品目を含めて、関税の平均削減率を54%以上にすることが盛り込まれた。これまでの提案より追加的な関税削減を求められる可能性がある。また削減率は、前回の多国間貿易交渉ウルグアイ・ラウンドの平均36%を上回り、輸入国に一層の市場開放を求めている。

◆輸出制限

改訂版では、輸出国の輸出禁止・制限措置に新たな規制を設けている。食料安全保障などの観点から、日本が交渉で積極的に訴えてきた分野だ。現在実施している措置については1年で廃止し、新規の措置も原則12カ月、最長18カ月で廃止することを提起している。

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WTO非公式閣僚会合/交渉越年に危機感 議長案3月合意弾みに
(「日本農業新聞」2008/01/30より)

スイス・ダボスで26日に開かれた世界貿易機関(WTO)の非公式閣僚会合は、ドーハ・ラウンド(多角的貿易交渉)について年内に妥結するとの目標を確認した。また目標の実現に向けて3月下旬に閣僚会合を開き、関税や補助金の削減ルールなどを定めるモダリティー(保護削減の基準)について合意を目指すことでも一致した。

交渉の妥結にはモダリティー合意後に、モダリティーに沿って各国が品目ごとの自由化計画を一覧表にした「国別約束表(譲許表)」の案を作成し、2国間や関心国間の交渉で国別約束表を確定することが必要。モダリティー合意を目指す時期を3月下旬としたのは、こうした交渉に必要な時間から逆算した結果だ。交渉の求心力を維持し加速を促す狙いもある。

年内妥結の目標はWTOのラミー事務局長が以前から掲げている。今回、主要国閣僚らがあらためて確認した背景には、妥結が来年に持ち越されれば、交渉がさらに遅れるだけでなく、大幅に後退するとの危機感がある。

米国は11月の大統領選挙を経て、来年1月に新政権が誕生。閣僚人事に時間が必要な上に、仮に民主党政権になれば、同国の通商政策が大幅に変わる可能性もあるからだ。また早期妥結に意欲を示してきた欧州連合(EU)のマンデルソン通商担当委員も2009年中に交代。交渉で積み上げてきたものが継続できなくなる可能性も指摘されているのだ。

ただ主要国の閣僚が日程を確認したからといって、この通り進むかどうかは不透明だ。

現在は2月上旬とみられているモダリティー議長案改訂版の提示後に、事務レベルの交渉で1.重要品目の数や低関税輸入枠の拡大幅、関税や国内補助金の削減率といった数値など、閣僚会合に持ち込む交渉案件を絞り込む 2.それ以外の案件は決着させる――との段取りが想定されている。

しかし、重要品目の低関税輸入枠の拡大幅を計算する際の消費量のとらえ方など、事務レベルでの交渉案件でも対立は続いている。また、主要な数値をはじめ閣僚会合に持ち越されると見込まれる主要な交渉案件についても、対立の構図は変わっていない。

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重要品目数は不十分 「一層の改善を」/WTO作業文書 農水次官が指摘
(「日本農業新聞」2008/01/08より)

農水省の白須敏朗次官は7日の会見で、世界貿易機関(WTO)農業交渉のファルコナー議長が4日に出した市場アクセス(参入)分野の作業文書について、「重要品目の数が不十分」などと指摘、「(今後も)しっかり反論していく必要がある」と述べ、関税や補助金の削減ルールなどを定めるモダリティー(保護削減の基準)議長案の改訂に向けて一層の改善を求める方針を表明した。

作業文書は、同議長が昨年7月に示したモダリティー議長案改訂版の「たたき台」。これまでの交渉を踏まえて、議長案では不十分だった部分を中心に補強している。

白須次官は作業文書の評価できる点として、1.日本が導入に反対している上限関税が、議長案と同様に盛り込まれていない 2.重要品目の数を算定する際の母数の拡大に向けて交渉の余地が生まれた――ことを挙げた。

一方で重要品目の数や、上限関税を導入しない代わりに追加的な低関税輸入枠の拡大を行うとの規定は議長案と変わっていない。白須次官は「(作業文書に)依然問題がある」と指摘。今月末にも示される議長案の改訂版に「わが国の意見が反映されるよう全力を挙げたい」と述べた。

重要品目の数について議長案は、原則「有税品目の4%か6%」を提起。日本は、関税ゼロの品目も含めて全品目を重要品目の母数にし、割合も高めるよう主張している。作業文書では「有税品目」をかっこ書きにして今後議論すべき項目とする一方で、割合は変えなかった。日本は、上限関税を導入しない代わりに代償措置を導入することにも反対している。

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2月後半以降に モダリティー合意のヤマ場/WTO交渉
(「日本農業新聞」2007/12/15より)

農水省は14日、世界貿易機関(WTO)交渉でモダリティー(保護削減の基準)合意に向けた交渉のヤマ場が、来年2月後半から3月中旬になるとの見通しを示した。農業交渉と鉱工業品や林水産物を扱う非農産品交渉の両議長は、1月末にモダリティー案の改訂版を示す見込み。同省は改訂版の提示後、事務レベルでの協議を経て、2月末以降に閣僚級会合が開かれるとみている。

自民党が同日、東京・永田町の党本部で開いた農林水産物貿易調査会で同省の佐藤正典総括審議官が報告した。農業交渉は1月3日から11日まで、事務レベルで各分野の最終的な議論が予定されている。これを控え、同交渉のファルコナー議長が年内にも、交渉のたたき台となる「作業文書」をいくつかの分野で示すと同省はみている。

また、同省は1月末には農業と非農産品の両交渉議長がモダリティー案の改訂版を提示すると見込む。

その後、閣僚級の議論の前提として、事務レベルで各分野での交渉や両分野横断で交渉する見通しだ。これらを通し2月末以降に、モダリティー合意を目指し、閣僚同士での会合が開かれる可能性があるとしている。

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農業交渉の集中協議を延長/WTO 11月半ばに改訂版? 非農産品で交渉本格化
(「日本農業新聞」2007/10/23より)

世界貿易機関(WTO)農業交渉は、3度目となる集中協議を28日の週に行う。夏休み明けに交渉が再開した当初は集中協議を9月3日から3週間と10月8日からの2週間の計2回で終える予定だったが、今回延長されることになった。このため、関税や補助金の削減ルールなどを定めるモダリティー(保護削減の基準)議長案の改訂版の提示は当初の見込みからずれ込み、早くても11月半ばとなる見通しだ。

年内にモダリティー合意を目指す農業交渉は現在、重要品目の低関税輸入枠の拡大幅を計算する手法など技術的な内容を事務レベルで詰めた上で議長案を改訂、同輸入枠の拡大幅や関税削減率などの数値は、その後の閣僚会合で政治決着させるとの道筋で進んでいる。

集中協議を1週間追加するのは、前回までの集中協議では発展途上国の産品で関税削減率を小さくできる特別品目や途上国向けの特別セーフガード(緊急輸入制限措置)などで議論が詰まらなかったためだ。このため“延長戦”では、これら途上国の優遇措置を中心に協議される見通しだ。

一方、低関税輸入枠の拡大幅の計算方法など先進国の市場開放や補助金削減などに関する交渉課題は、農産物輸出国と輸入国の対立点の明確化も含めて議論が整理されてきている。

また、鉱工業品や林水産品の関税を扱う非農産品分野は交渉が遅れていたが、今週から3週間の予定で集中協議が始まった。これまでは途上国の間で議長案をたたき台とする合意も得られていなかったが、17日にインドとブラジル、南アフリカの首脳が議長案を「交渉のベース(たたき台)」と認めるとの共同声明を発表。これらを受けて集中協議の開始が急きょ決定した。

こうした日程を踏まえて、11月半ばの改訂版の提示という見通しが浮上してきたのだ。

ただ、農業交渉では「(途上国の優遇措置で)まだまだ詰まっていない部分は多い。集中協議の期間が伸びる可能性はある」(農水省幹部)状況だ。非農産品交渉も「交渉が始まっただけで、対立構図が変わったわけではない」(外交筋)との指摘もあり、見通し通り進むかは不透明だ。

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日・ASEAN EPAに大筋合意/重要品目は除外
(「日本農業新聞」2007/08/26より)

農水省は25日、日本と東南アジア諸国連合(ASEAN・10カ国)との包括的な経済連携協定(EPA)交渉で、米麦や乳製品などの重要品目を関税撤廃や関税削減の対象から除いたと発表した。同日フィリピンのマニラで開かれた経済相会議で大筋合意した。日本側は10年以内に農産物や鉱工業品の輸入額ベースで93%の関税撤廃を迫られる中、同省は重要品目の例外措置を確保できたことで「十分な配慮を行った」と強調している。

日本側が関税撤廃にも関税削減にも応じなかった品目は、ほかに牛肉、豚肉、鶏肉、砂糖、でんぷん、パイナップルなど。鶏肉調製品や低関税の熱帯産木材合板などは関税削減に応じたが「10年以内での段階的な関税削減」を確保した。「即時関税撤廃」に応じた品目は、ASEAN側の関心が高い熱帯果実のドリアンやエビ、エビ調製品など。「10年以内の段階的な関税撤廃」は塩蔵ナスやカレー調製品、クラゲなど。

農水省は「関税撤廃に応じたのはこれまでASEAN各国との2国間EPAで関税撤廃に応じた品目に限られる」(国際経済課)ため、国内農業への影響は最小限に抑えられるとの認識を示している。

日本側の輸出関心品目の梨や桃、ブドウ、リンゴ、ナガイモなどは、ASEAN側が段階的な関税撤廃に合意した。

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WTO農業交渉議長が草案提示/低関税輸入枠拡大求める
(「日本農業新聞」2007/07/19より)

世界貿易機関(WTO)農業交渉のファルコナー議長が17日に各国に配布した、関税や補助金の削減ルールなどを定めるモダリティー(保護削減の基準)の草案(議長案)は、重要品目について米のミニマムアクセス(MA=最低輸入機会)のような低関税輸入枠の大幅な拡大を提起した。加えて、上限関税を盛り込まなかった代わりに、低関税輸入枠の追加的な拡大を求めるなど、日本には依然厳しい内容だ。

■依然 日本に厳しく 上限関税は記述なし

各国は今後、議長案を「たたき台」に来週、ジュネーブで協議。8月中は各国・グループ間での検討を行い、9月3日以降に本格的な交渉を再開する。議長は、この議論を踏まえて議長案の改訂版を出し、交渉全体の年内妥結に持ち込みたい考え。しかし議長案には日本をはじめ各国の反発が予想される。

■新たに代償措置

議長案には上限関税の記述が一切無い。赤城徳彦農相による一連の外交攻勢が一定の成果を得たと農水省幹部はみる。しかし一方で、重要品目の低関税輸入枠の拡大について新たな提案をしている。「関税を削減しても100%を超える高関税品目が、関税を課している品目(有税品目)の5%以上残る場合は一定の低関税輸入枠を追加的に拡大する」という内容だ。関税率778%の米など高関税品目を多く抱える日本は適用が必至とみられる。

■重要品目40か60

重要品目数は、有税品目の4%か6%を提案した。G10提案の「全品目の10~15%」とは大きな開きがある。割合が大幅に小さい上に、日本の全品目1332のうち有税品目は1013で“母数”も小さくなるからだ。

議長案を日本に当てはめると重要品目の数は40か60。ファルコナー議長が4月30日に提案した「全品目の1~5%」(品目数13~66)の上限よりも少なくなる計算だ。160を超える日本の高関税品目の半分もカバーできない。

また条件付きで、重要品目数を有税品目の8%に拡大することも提案。条件は1.75%を超える高関税品目が全品目の30%以上ある 2.品目の分類法の違いによって、全品目の数に不利益が出る場合――の2つ。

1.は日本には当てはまらないが、 2.は日本がこれまで強く主張してきたことだ。例えば欧州連合(EU)の全品目数は2200で、日本の2倍近くある。

重要品目は、一般品目より小さい関税削減と低関税輸入枠の拡大で市場参入を促進する。議長案では原則として、関税削減率を、重要品目以外(一般品目)の削減率の3分の1~3分の2と提案。

関税削減率にそれぞれ対応した低関税輸入枠の拡大は原則、国内消費量の「4%か6%」~「3%か5%」とした。米で計算すれば「6%」が51万トン、「3%」が26万トン。作付面積では、それぞれ10万ヘクタール、5万ヘクタールに相当する。

■「一般」は削減大

重要品目以外の一般品目の関税削減率は、現行の関税が75%を超える高関税品目で66~73%、関税20%以下の低関税品目でも48~52%とした。それぞれG10提案の45~60%、27~39%に比べ、かなり高い水準だ。

重要品目数が絞られた場合には、高関税でも一般品目にしなければならない品目が出る。

このままでは日本の農業や地域の経済・社会にとって大切な品目でも、重要品目にして低関税輸入枠を大幅に拡大するか、一般品目にして関税を大幅に削減するか――という、厳しい選択を迫られることになる。

■政府与党 巻き返しへ全力

ファルコナー議長のモダリティー草案に対し政府・与党は、同議長が前回4月末に提示した「チャレンジ文書」に比べ、「改善も見られるが、依然日本にとって厳しい内容が含まれる」と受け止めている。

農水省は、今回の議長案に上限関税の記述が無いことを評価する。上限関税の導入阻止を最優先事項の一つと位置付け、一連の外交攻勢で訴えてきた。しかし、その代償ともいえる措置の導入が盛り込まれたことには「支持できない」と警戒を強める。

4%または6%となった重要品目の数は、実数を算出する“母数”が、全品目ではなく有税品目の数になり、実数ではチャレンジ文書よりも厳しい提案になった。同省は「有税品目が母数では、これまでに関税をゼロにし、市場開放の努力をしたほど不利になる」と批判、全品目を母数にするよう訴える方針だ。

一方で、条件や代償付きとはいえ、8%まで増やせる項目が盛り込まれたことを足がかりとし、今後の交渉でできるだけ多くの重要品目数の獲得を目指す。

政府・与党は「各国にとってもプラス・マイナスがある」と、議長案への各国の反応を見極める考え。今後の交渉では農業団体や、食料純輸入国グループ(G10)などと連携し、輸入国の農業・農村を守る主張を続けていく。

■全中会長 「受け入れられぬ」

JA全中の宮田勇会長は、ファルコナー議長が示したモダリティーの草案に対し、「輸入国の農業を壊滅に導きかねない内容で、このままでは全く受け入れられない」との談話を発表した。

上限関税の具体的な記述がないことを「一定の前進」としながらも、高関税品目を多く抱える国に低関税輸入枠を上乗せすることは、G10に多大な代償を求める内容で「容認できない」と厳しく批判。

その上で「今後の交渉で絶対に譲れない一線として巻き返していかなければならない」と修正を求めた。重要品目の数も抜本的な改善が必要だとしている。

一般品目の階層方式の削減率が厳しくなった点についても、重要品目の関税削減と連動するため、問題が大きいと受け止めている。

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「たたき台」焦点に 日本、予断待たず主張/WTO交渉延期
(「日本農業新聞」2007/07/07より)

世界貿易機関(WTO)ドーハ・ラウンド(多角的貿易交渉)は、各国が目指していた7月末のモダリティー(保護削減の基準)合意を事実上、断念した。交渉を主導する米国、欧州連合(EU)など主要4カ国(G4)が6月に開いた閣僚会合の決裂で、モダリティーの「たたき台」となる議長文書の提示が遅れたためだ。本格的な協議は9月以降に持ち越される。

これでWTOが目指している交渉全体の年内合意にも黄信号がともった。しかし、日本政府は「(交渉がどのように動くかは)予断を持たない方がいい」(赤城徳彦農相)と警戒する。

また年内に妥結するか、来年以降にずれ込むかにかかわらず、ファルコナー農業交渉議長が今月中旬に提示する「たたき台」が今後の交渉の軸となるため、そこに日本の主張が盛り込まれるかが当面の最大の焦点だ。

しかも、同議長が4月末に示した「チャレンジ文書」は、重要品目数を全品目の1~5%とするなど、日本にとって厳しい内容だった。また6月のG4閣僚会合は決裂したものの、重要品目数を絞り込む議論は進んだとの見方もある。

このため来週のファルコナー議長らとの会談で赤城徳彦農相が、日本の主張をどこまで「言い込む」(同農相)ことができるかが重要になる。

モダリティーについてWTOがこれまで、7月末までの合意を目指してきたのは、モダリティー合意後に1.モダリティーに基づいて各国が、関税削減など品目ごとの自由化計画を盛り込む「国別約束表」をつくる 2.同約束表に基づいて、2国間で品目ごとの自由化交渉を行う――必要があり、モダリティー合意から妥結までの間にも時間がかかるからだ。

ただモダリティーの合意時期がずれ込んでも、来年の米国大統領選や2009年の欧州議会選による交渉の長期空転を避けるため、9月の再開以降に交渉が急展開する可能性もある。

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WTO交渉 G10が結束強化/閣僚会合共同声明 上限関税は阻止
(「日本農業新聞」2007/05/18より)

世界貿易機関(WTO)農業交渉で連携する日本やスイスなどの食料純輸入国グループ(G10)は16日、パリで閣僚会合を開き、農業交渉で優先的に確保すべき事項を確認するとともに、G10の結束を強化してヤマ場に臨む方針で一致した。会合後に共同声明を発表。重点事項として、上限関税の導入阻止や、重要品目の適切な取り扱いと十分な数の確保などを目指す考えを表明した。

G10が重点事項で意志固めをしたのは、関税や国内補助金などのルールを定めるモダリティー(保護削減の基準)の交渉が、重大な局面を迎えているとの認識で一致したためだ。

共同声明では、G10が農業交渉に貢献する用意があることを指摘した上で、市場アクセス(参入)分野で4つの重点項目を挙げ、モダリティー案を受け入れ可能なバランスの取れたものにするよう求めた。

閣僚会合では、合意内容に輸入国の主張が適切に反映されるよう努めることを確認。特に、水面下で調整を続けている米国と欧州連合(EU)、ブラジル、インドの4カ国・地域(G4)の協議の結果を、そのまま合意内容に反映させることは認めない、とした。

これに先立つ16カ国・地域によるWTO非公式閣僚会合では、年内の終結に向けて交渉を加速させることで一致した。

日本からは松岡利勝農相と甘利明経済産業相が出席。松岡農相は「上限関税の問題や重要品目の数などの確保を大前提として、鉱工業品などの非農産品市場アクセス交渉を含めてパッケージで大いに貢献する用意がある」と発言。農業以外の分野も含めて日本が譲歩するには、上限関税や重要品目などで日本の主張が受け入れられることが条件との考えを示唆した。

会合後、農相は記者団に「交渉は後戻りすることはないが、かといって一気に加速まで行くかどうか。まさにこれからの1、2カ月の動きが鍵を握っている」と述べた。

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重要品目数 公平に/WTO議長文書で農水省評価 輸入国無視を懸念
(「日本農業新聞」2007/05/11より)

農水省は10日の自民党農林水産物貿易調査会に、世界貿易機関(WTO)農業交渉のファルコナー議長が4月末に示した「チャレンジ文書」の評価を示した。議長文書が重要品目数を全品目数の1~5%と提案していることについて、あらためて「受け入れられない」と指摘。重要品目の数を全品目に占める割合ではなく、実際の品目数で決めることも含めて「公平なものとすべきだ」との考えを表明した。

重要品目は、大幅な関税削減の対象から除外する重要品目数の決め方の一つとして「実際の品目数」を挙げたのは、農産物全体の品目数が国によって大きく違うためだ。

例えば日本は1326だが、欧州連合(EU)は2200。同じ割合を適用しても実際の品目数では2倍近い開きが出てしまう。議長文書にも、実際の品目数への配慮を示唆する内容も含まれており、同省はこれを足がかりにする考えだ。

また同省は議長文書の提案では、米国の国内補助金の全削減額については幅が広いのに比べて、重要品目数を一方的に絞り込んでいるとして「明らかにバランスを欠いている」と批判。議長文書全体を通じ、日本を含む食料純輸入国グループ(G10)の提案が反映されていないことを懸念。

米国の国内補助金の全体削減額の提案(190億~100億ドル台の非常に低い水準)には、同国の現在の支出水準(190億ドル=2005年)まで含まれているため問題だと指摘した。

「付け加えることは何もない」とされた上限関税については、昨年6月のモダリティー(保護削減の基準)案に追加する内容が見いだせなかったととらえ、日本にとって不利益になる記述がなかった点は評価するとした。

これらに対し、同調査会の議員からは「重要品目数で折り合いがつかない場合、上限関税がおどしとして使われるのでは」「米国は議長文書に不満を示しているというが、見せかけではないか」など、同省の見通しに厳しい意見も出た。

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WTO農業交渉 ファルコナー議長が新文書/大幅自由化促す
(「日本農業新聞」2007/05/02より)

世界貿易機関(WTO)農業交渉のファルコナー議長が、交渉を促進するために30日に各国に提示した新文書「チャレンジ文書」は、重要品目数の「想定される着地点」を全品目の1~5%とするなど日本にとって非常に厳しい内容となった。スイス・ジュネーブを訪問していた松岡利勝農相は「(重要品目1~5%は)受け入れられない」と述べ、今後の交渉で強く反対していく姿勢を示した。

◇どの国も不満

文書には、水面下で近付きつつあるといわれている米国と欧州連合(EU)の提案を「想定される着地点」とする項目が多い。一方で、米国の国内補助金を、これまでより大きく削減する提案も含んでいる。

議長は文書の性格について「どの国にとっても不満のある内容」としており、主要各国にそれぞれ厳しい提案を突き付けることで議論を巻き起こすことが狙いにある。

◇品目数を制限

大幅な関税引き下げの対象から外す重要品目の数について、文書は全品目数の1%から5%の間が「想定される着地点」とする。重要品目の関税削減率は、一般品目の3分の1から3分の2とした。

重要品目の数は、従来の米国提案(有税品目の1%)とEUの非公式提案(全品目数の4~5%)の間を取った格好で、日本を含む食料純輸入国グループ(G10)が主張する、10~15%とは大きな開きがある。

仮に重要品目数が全品目の1%になると、全品目数が1326の日本は13品目が対象で、米(17品目)も含みきれない。5%でも約70品目で、日本は高関税品目だけでも160品目を超え、半分も対象にできない計算だ。文書は、低関税輸入枠について複数の選択肢を示した。いずれも枠を拡大することが前提だ。

◇米・EU重視

一般品目の関税削減では、75%以上の高関税の削減率について「着地点」を米国提案(85%)とEU提案(60%)の間とし、EU提案以下の水準での合意は想定されないとした。平均削減率では50%以上としている。

G10は「45~60%」を提案しているが、文書は重要品目数が極めて不十分な上に、一般品目の関税削減率は60%を超える方向を示しており、日本にとっては厳しい数字といえる。

◇議論先延ばし

日本・G10が導入を強く反対している、すべての関税に上限を設けて一律的に削減する上限関税については、「付け加えることは何もない」との記述にとどまった。昨年6月に出された前回の議長文書では1.その役割をまだ評価する段階 2.明らかに均衡を欠いたものにならないこと――として、他の項目よりも弱い表記になっている。

上限関税の導入に向けた記述が入らなかったことに農水省は一定の評価をするが、上限関税の議論そのものが消えたわけではない。日本は引き続き、上限関税の導入に反対する方針だ。

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日豪EPA 交渉期限設けず/次回は東京で7月末
(「日本農業新聞」2007/04/25より)

オーストラリアの首都キャンベラで開かれていた日本と同国の経済連携協定(EPA)交渉の初会合は24日、交渉の期限を設けないことや、今後の会合を2~3カ月の頻度で開くことなどを決めて終了した。次回の会合は7月末ごろに東京で開く。

初会合では、関税を撤廃する品目の議論など具体的な協議には入らなかったが、日本側は米や牛肉、乳製品といった重要品目を抱える日本農業のセンシティビティ(重要性)を踏まえて交渉する考えを伝えた。オーストラリア側も、同様の認識を持っていることを示した。ただ、同国はこれまで「すべての品目が交渉の対象だ」(トラス貿易相)と主張してきた。この認識が直ちに重要品目の例外扱いにつながるどうかは不透明だ。

交渉の範囲については、農産物を含むモノの貿易のほか、エネルギーや鉱物資源、サービス、投資などを対象とすることで両国が一致した。必要に応じて分野ごとに作業部会や分科会をつくり、交渉を進める。

相手国に関税の撤廃を求める品目の一覧表の交換など、本格的な交渉は参院選後の7月末ごろに開く第2回会合以降になる見通しだ。

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農産物の関税全廃 食料自給率12%に/農水省試算
(「日本農業新聞」2007/02/27より)

農水省は26日、日本が世界貿易機関(WTO)や経済連携協定(EPA)などの国際交渉で、仮に関税など農産物の国境措置を全面撤廃した場合、国内の農業生産額が約3兆6000億円減るとの試算を明らかにした。これは農業総産出額の42%に当たる。この結果、40%で低迷している食料自給率は12%に落ち込み、食料安全保障が完全に崩壊する。同省はこうした試算を経済財政諮問会議のEPA・農業改革作業部会に報告。米麦や乳製品、砂糖などの重要品目をWTO農業交渉での大幅な市場開放や、EPA交渉での関税撤廃の対象から除外する必要性について理解を求める考えだ。

この試算は経済財政諮問会議のメンバーのうち、「国境措置の撤廃」を求める民間議員の要請を受けてまとめた。財政負担などの追加的な対策を行わないことや、国内需要量は変わらないことなどを前提に試算した。

国内農業生産額が4割も減少するとの試算になったのは、内外価格差が大きい米麦や砂糖、牛肉、乳製品、加工用果実などを中心に市場を失う品目が続出するため。

国内農業の縮小に伴い、生産資材や飼料、農業機械などの製造業や運送業などへも影響が拡大。農村部を中心に国内総生産(GDP)の減少額は約9兆円に達し、全就業者数の5.5%に相当する約375万人分の就業機会が失われる恐れがあるとしている。

地域別にみると、北海道を筆頭に、東北、九州、沖縄、中国、四国で全国平均を上回る打撃がある一方、大都市圏がある関東、中部、近畿の地域経済への影響は比較的小さい。このため、同省は「経済の地域間格差の拡大につながる恐れがある」と指摘する。

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[解説]WTOで農相会見/交渉本格化へ備えを 品目影響 見極めが重要
(「日本農業新聞」2007/02//14より)

松岡利勝農相が13日、世界貿易機関(WTO)農業交渉で、日本を含む食料純輸入国グループのG10と欧州連合(EU)で共同提案を検討し、ほかの主要国との個別協議も精力的に行う考えを示した。一方、農業交渉は、米国とEUの個別協議が合意すれば一気に本格化するとみられる。その際、日本が取り残されることがないよう、こうした外交活動を通じて、日本の主張を交渉に反映させる態勢をつくっておくことが求められる。

昨年7月のドーハ・ラウンド(多角的貿易交渉)の凍結で中断していた農業交渉は、今月9日、再開した。しかし、加盟国全体での交渉がすぐに本格化する状況にはない。交渉は2国間や少数国間での個別協議の結果を、全体での交渉につなげるとの道筋で進んでいるが、個別協議の進展状況、特に米・EU協議の見通しが不透明だからだ。

だが、米・EUが合意してから、日本が外交活動を本格化させたのでは手遅れになりかねない。日本とEUは、重要品目を守りたいという基本的な姿勢は同じだ。しかし、品目ごとの事情が違い、仮に米・EUが合意した場合、重要品目の扱いがEUには都合が良い内容でも、日本にとっては不利な内容であることが考えられる。米・EU合意の前に、G10とEUで合意しておくことが重要だと言える。

今交渉では開発途上国の発言力が強く、リーダー格のブラジルやインドとの意見調整も大切だ。

ただ、各国と一致点を見出すために、安易に妥協するようなことがあってはならない。各品目への影響をよく見極めて、個別協議に臨む必要がある。

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日豪FTA首脳合意 年明け交渉入り
(「日本農業新聞」2006/12/13より)

日本とオーストラリアの両政府は12日、安倍晋三首相とハワード首相との電話による首脳会談で、関税撤廃を原則とする自由貿易協定(FTA)締結交渉を来年から始めることに合意した。政府はこの交渉で、国内の農業・地域経済を守るため、米も含めた重要品目の関税撤廃の例外化を目指す方針だ。だが、オーストラリアも農産物の「日本市場」拡大を狙い、関税撤廃で強硬姿勢をとることが濃厚。交渉は難航必至だが、政府には重要品目の例外扱いでの譲歩は許されない。

FTA交渉入りを合意した両国首脳会談は同日午後3時から急きょ、電話で20分間行った。当初は、フィリピン・セブ島で13日に予定されていた東アジアサミットに合わせて行うはずだった。だが、同サミットの延期で当地での直接会談ができなくなり、電話会談に切り替わった。

首脳会談後、安倍首相は記者団に「農業問題などの関心事項に配慮しながら交渉し、相互に利益があるものにしなければならない」と農産物のセンシティビティー(特殊性)を十分配慮して交渉を進める方針を明示した。塩崎恭久官房長官も会見で「両国間の戦略的関係の一層の強化に資する認識で一致した。農業などの重要性を認識しながら相互利益の実現を目指す」と強調した。来年の交渉開始時期は今後、両国で決める。

オーストラリアは世界有数の農産物輸出国。日本も牛肉、小麦、乳製品、砂糖など重要品目の輸入が多い。関税撤廃を強いられれば、日本の農業・地域経済は3兆円規模(自民党試算)の壊滅的な打撃を受けることになる。

このため、自民党農林水産物貿易調査会、衆・参院農林水産委員会は重要品目の「例外化」確保を求める決議をしている。政府もこの決議を踏まえて交渉に臨む。

ただ、交渉の実質的な枠組みとなる両政府間の共同研究報告書では、日本が求める重要品目の例外化は不透明。関税撤廃の「すべての柔軟性の選択肢」の例示で、オーストラリアが主張する関税撤廃につながる「段階的削減」と、日本が例外化で具体的に求める「除外」や「再協議」が併記となっている。このため、交渉では農業をめぐって激しい攻防が避けられそうにない。

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日豪FTAで決議 重要品目除外明確に/衆院農水委
(「日本農業新聞」2006/12/08より)

衆院農水委員会(西川公也委員長)は7日、日本とオーストラリアとの自由貿易協定(FTA)を柱とする経済連携協定(EPA)交渉入りの正式決定を前に、米麦、牛肉、乳製品、砂糖などの重要品目を関税撤廃の対象から「除外」か「再協議」扱いできない場合には、交渉中断も辞さずに厳しく対応するよう政府に求める決議を全会一致で採択した。参院農水委員会でも同様の決議に向けた調整が進んでおり、農水省は「重要品目を守る強い後ろ盾になる」と重く受け止めている。

EPAなどの条約は政府間交渉で合意を得た後、国会の批准を受けなければ発効できない。このため交渉入りの正式決定前に、与野党合意の下、国会で重要品目の例外扱いを確保する意思を明確にできた意味は大きい。同委筆頭理事の自民党の岩永峯一元農相は「決議の中に、交渉中断の文言を入れられた意味は大きい」と述べた。

決議は政府に1.重要品目の「除外」「再協議」の確保 2.世界貿易機関(WTO)交渉や米国・カナダとの貿易への留意 3.交渉中断も含めた厳しい判断 4.地域経済への影響まで踏まえた対応――の4つを求めている。

同様の決議は自民党農林水産物貿易調査会が4日に決定し、政府も5日、官房長官や農相、外相などによる関係閣僚会議で確認。松岡利勝農相は同委員会で「この趣旨を尊重し、今後、最善の努力を尽くしていく」と決意を表明した。

安倍晋三首相は12日の両国首脳会談で年明けからの交渉入りを正式合意する見込み。ただ、重要品目の例外扱いの確保は難航が予想されている。

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WTO交渉 再開努力で一致/G20と日米欧
(「日本農業新聞」2006/09/12

有力発展途上国グループ(G20)が日米、欧州連合(EU)も招いてブラジルで10日まで開いた閣僚会合では、7月に凍結した世界貿易機関(WTO)ドーハラウンド(多角的貿易交渉)の再開へ努力することで一致した。ラミーWTO事務局長は交渉再開のめどだてを「来年3月中旬」と見通し、交渉意欲を失っていないことを強調。中川昭一農相も交渉再開に前向きな姿勢を示した。ただ、米国、G20は農業交渉で大幅な関税引き下げ提案に固執しており、日本にとって交渉をめぐる厳しさは変わっていない。

■解説/日米欧・G20会合/農業交渉再開へ意欲

ブラジルやインドをはじめとした有力発展途上国グループ(G20)が開いた閣僚会合では、7月末に凍結した世界貿易機関(WTO)ドーハラウンド(多角的貿易交渉)の再開に向け、ラミーWTO事務局長や日本、米国、欧州連合(EU)の閣僚も参加し、交渉再開の重要性を確認した。当初、交渉凍結は2、3年になるとの憶測もあったが、交渉への各国の意欲は失われていない。だが、交渉再開への具体的な協議はできず、実質的には「前進」していない。

会合後の会見で、ラミー氏は交渉の再開時期を「来年3月中旬に見通しが立つ」と指摘し、交渉意欲をにじませた。

再開めどが分かる時期を3月中旬としたのは、交渉の鍵を握り、交渉凍結の主因ともなった米国の国内事情が絡んでいる。11月の米国中間選挙を終えた年明けには、来年6月末で切れる米国大統領の貿易交渉権限(TPA)の延長の是非や、米国で進む農業法改正の概要が見えてくるとの思惑だ。

米国のスケジュールにこわだりすぎとの批判もあるが、ラミー氏は交渉主導国の米国が国内事情を整えて動けるようにならなければ、交渉再開ができないとみている。

だが、米国の中間選挙結果によっては、ブッシュ政権の力が弱まることもあり、先行きは不透明だ。また、G20は今回の閣僚会合で、交渉が凍結した7月末までの協議内容を踏襲することを確認。米国とともに農産物の大幅な市場開放を要求しており、食料輸出国側に譲歩姿勢はない。

大幅な市場開放に反対する日本、EUとの溝は深いままだ。会合に参加した中川昭一農相は「日はまた昇り始めた」と交渉進展へ努力する姿勢を示したが、交渉再開の道はまだ遠そうだ。

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WTO凍結あいまい 事務局長の作戦か/URの再来狙い?
(「日本農業新聞」2006/07/30より)

世界貿易機関(WTO)の一般理事会は28日、ドーハ・ラウンド(多角的貿易交渉)の凍結を正式決定せずに終了した。この裏に、「WTOのラミー事務局長が交渉再開時に主導権を確保するためではないか」との憶測が流れている。

一般理事会は決裂した主要6カ国・地域(G6)の閣僚会合の結果を報告するにとどめた。通商関係者の一人は「交渉凍結が一般理事会で決まれば、交渉再開にも一般理での決定が必要になる。手続きをあいまいにすることで、いつ、どういう形で再開するのかという判断を、ラミー事務局長に任せることが狙いなのではないか」と解釈する。

念頭に置いているのは、かつてのウルグアイ・ラウンド(UR)交渉の最終局面だ。1990年12月にブリュッセルで開かれた閣僚会議の決裂を受け、加盟国は交渉の一時凍結で一致。当時のダンケル事務局長に裁定を委ねた経緯がある。ラミー事務局長もこれを狙っている、との見方だ。

しかし、トップダウンの手法を好むラミー事務局長のやり方には、意思決定過程に参加できない加盟国から批判がある。今後、事務局長が対応を誤れば、WTO内の手続きも絡んで波乱が予想される。(ジュネーブ29日、安達聡子本紙特約通信員)

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WTO交渉凍結を確認 今後の日程示せず
(「日本農業新聞」2006/07/26より)

【ジュネーブ25日安達聡子本紙特約通信員】世界貿易機関(WTO)は24日(日本時間25日未明)、非公式全体会合を開き、農業交渉を含むドーハ・ラウンド(多角的貿易交渉)全般を中断する方針を確認した。ラウンドを主導する主要6カ国・地域(G6)の閣僚折衝が決裂したためだ。全体会合でラミー事務局長は、年末を期限とするラウンドの決着断念を表明した。交渉中断は27日のWTO一般理事会で正式に決定する予定。(2、3面に関連記事)

会合の冒頭、ラミー事務局長はラウンドの現状について「深刻な状況にある。農業と非農産品のモダリティー(保護削減の基準)確立なしに、年内に決着させるのは無理だろう」と述べ、年内妥結を事実上、断念した。

今後の日程などは話し合っておらず、交渉がいつ、どういう形で再開するのかは白紙の状態だ。

同事務局長はまた、会合終了後の会見で「交渉が進まないことへの発展途上国のいらだちを今日ほど強く感じたことはない」と語った。

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WTO、年内決着困難/6カ国会合決裂 米国が譲歩せず
(「日本農業新聞」2006/07/25より)

【ジュネーブ24日高橋秀昭・安達聡子】世界貿易機関(WTO)ドーハ・ラウンド(多角的貿易交渉)を実質的に主導する主要6カ国・地域(G6)は24日、前日に引き続いて閣僚会合を開いた。一連の会合で日本やインドやブラジルなどが譲歩の用意があることを示唆した一方、米国が国内農業補助金で一層の削減を拒む姿勢を崩さず、交渉は決裂。次回会合の日程さえ決められなかった。交渉は一定期間、凍結される可能性が高く、ラウンドが目指していた年内最終決着も不可能といえる情勢となった。

農業交渉は、鉱工業品などの非農産品市場アクセス(参入)交渉にまたがる「三すくみ」の状態にあった。日本や欧州連合(EU)の農産物の市場開放と、米国の国内農業補助金削減、ブラジルやインドなど発展途上国の鉱工業品の市場開放――が絡み合う構図だ。しかし5月以降、EUや途上国が譲歩を示唆したことから、米国に矛先が向いていた。

6月末のG6閣僚会合では、米国が提案している国内補助金提案は実質的に痛みを伴わない、として各国が譲歩を求めたが、米国は拒否。合意を先送りした。

その後、主要国首脳会議(サミット)が関税引き下げ率を含むモダリティー(保護削減の基準)を8月半ばまでに確立するよう要請。今会合では再び、米国の対応に注目が集まっていた。

中川昭一農相は24日のG6閣僚会合終了後、記者団に「(交渉が決裂し)再開の見通しは立っていない。各閣僚とも柔軟性を持って臨んだが、合意を得られなかった」と述べ、意見の隔たりが大きかったことを説明した。

交渉が不調に終わったことで、WTOのラミー事務局長は、多国間貿易体制が危機に陥るとの警鐘を鳴らしている。

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農業交渉/大枠合意、先送り 米国が譲歩拒否
(「日本農業新聞」2006/07/02より)

【ジュネーブ1日WTO取材班】世界貿易機関(WTO)ドーハ・ラウンド(多角的貿易交渉)を実質的に主導する米国や欧州連合(EU)、ブラジル、日本など6カ国・地域(G6)の閣僚は1日未明、当地での一連の閣僚会合で農業分野などのモダリティー(保護削減の基準)合意を断念した。米国など農産物輸出国が譲歩しなかったのが最大の原因。G6は合意期限を7月末に先送りすることで一致したが、それさえも極めて難しいとの見方が各国に広まっている。

30日夕からの30カ国程度による少数国の全体閣僚会合は、農業、鉱工業品のモダリティー合意を目指す協議が行き詰まり、G6に判断を委ねた。しかし、同日夜のG6閣僚会合でも打開することができず、WTOのラミー事務局長は「議論の幅が大き過ぎるので、これ以上続けるわけにはいかない」と、協議打ち切りを判断した。

中川昭一農相は1日未明のG6会合終了後、「決裂したわけではないが、これ以上交渉するには無理があるというか、意味がないという認識に至った」と記者団に説明した。

30日午後のG6会合では、農業交渉の前進を探り、一般的な品目とは異なる扱いとなる重要品目などの実質的な問題を協議した。日本とEUは、重要品目の取り扱いの共同提案を表明して交渉への貢献策を明示。しかし、低関税輸入枠の拡大のベースという根本的なところで輸出国と意見が食い違ったままだった。

さらに、農業の国内補助金でもう一段の削減を各国から求められていた米国が、歩み寄りを拒んだ。こうしたことで協議は暗礁に乗り上げた。1日午後の少数国の全体閣僚会合で、今回の合意断念を確認した。

■解説/厳しい年内決着

WTOは、農業などのモダリティー合意を7月末に先送りした。農業の国内補助削減で米国が譲歩しなかったことが主因だが、各国・地域の利害対立も解消していない。WTOが目標とする年末のドーハ・ラウンド最終合意は一段と厳しい情勢となった。

交渉を主導するG6の閣僚は交渉を失速させないため、「意欲は失っていない」(中川昭一農相)としている。

7月末に完全なモダリティーに合意し、関税率の国別約束表(譲許表)案をつくる時間を短縮すれば、当初予定通り今年年末にラウンド全体を決着させることは可能との判断だ。

しかし、7月末に閣僚会合が開けるかどうかすら不透明だ。「今回できなかったものが、1カ月後にできるとは考えられない」(通商筋)と、さめた見方も出始めている。11月の米国の中間選挙が近づくほど、焦点となった米国の譲歩はますます困難になり、局面打開が難しくなるのは必至だ。

ラミーWTO事務局長はかねて、「(7月までにめどがたたなければ)交渉が1、2年冷蔵庫に入ってしまう」としてきた。年内の合意が難しくなっただけでなく、こうした凍結論さえも現実味を帯びてきたといえる。

(ジュネーブ1日一杉克彦)

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