ICTで鳥獣害対策/県猟友会/大型囲いわなの実証をスタート
2017.01.30
新潟県の事業で県猟友会は、イノシシなどによる農作物被害を抑えるため、情報通信技術(ICT)を使った大型囲いわなの実証に乗り出した。上越市の2カ所に、カメラやセンサー、スマートフォンなどと連動したわなを設置した。これは、遠隔操作ができたり、一度に数頭まとめて捕獲できたりするのが特徴だ。イノシシの生息実態やおりの効果を3月15日まで確認していく。
囲いわな2基は、猟友会柿崎支部が昨年12月10日にイノシシなどの通り道となる山際に設置し、15日に運用を始めた。巡回や撒き餌、点検などの管理も同支部が担う。おりの大きさは縦、横が4メートル、高さが2メートルで、従来の箱わなに比べて多数の獣を捕獲できる。センサーやカメラを備え、パソコンやスマートフォンなどで捕獲状況を確認できる。多くのイノシシがおりに入ったところで、遠隔操作して落とし戸を閉める仕組み。
猟友会は3月15日までの85日間で、地域のイノシシの生息実態やICTの活用方法などを調査する。これまでに囲いわなに慣れてしまったイノシシ2頭を捕獲した。
同支部管内は、県内でイノシシの生息密度が最も高い地域の一つだ。小野寺健一支部長は「電気柵で農作物は守れても、農地への侵入は防げない。地域農業の発展には、効率的な多頭捕獲が欠かせない」と農業者の立場から話す。県猟友会の池田富夫会長は「ノウハウを蓄積し、行政や農業者団体の取り組みを支援できるようにしていきたい」と話した。
イノシシの侵入がわかる大型囲いわなのセンサー部分を指し示す小野寺支部長